「エビデンスに基づいた健康食品」という宣伝を目にすることが増えてきました。
「エビデンス=Evidence」とは「証拠」「証明書」の意味ですが、
「エビデンスに基づいた健康食品」とは、実験によって検証されて、
その結果ががんやその他の病気に有効な作用を持つと判断された健康食品を意味
しているようです。
「エビデンス健康食品」は実証的根拠、科学的根拠があることから効果効能が高い?とされ、
「エビデンスサプリ」なる造語まで発生しています。
「エビデンス健康食品」、「エビデンスサプリ」は、一見にはとても的確でもっ
ともらしいために、信頼性が高い商品のような印象を受けてしまいます。
しかし、よくよく考えると「エビデンスのある健康食品」とは、大きな矛盾を孕んでい
るのです。
そもそも特定の食品や薬剤もしくは成分の効果や有効性を証明するためには、
その薬品または食品の安全性と有効性を確かめべく、
大規模な実験=「治験」を行う必要があります。
治験は動物実験に始まり、一定数の人体実験=治験まで厳しい規定が定められて
います。
この規定は、研究者や企業毎にそれぞれが独自の実験結果から「効果がある」としてしまっては、
消費者=患者が混乱することを避けるため厳しい第三者審議会による監視が不可
欠です。
そのために世界中で国ごとに薬事法が定められていて、
「薬」と承認する手続きを定め、「薬」と呼ばれるための必要な最低限の実験の
手法と規模を定めて実験結果を資料=エビデンスとして纏めることが義務付けら
れています。実験効果=エビデンスから安全性と効果が確認されたモノだけが、
政府によって「薬」と認定されるのです。
つまり、薬事法規定を満足する実験データと正式な申請、審議会を承認を経てい
ないモノは「薬」ではなく、「効くかどうか判らないモノ」として「効く」「効果がある」と宣伝することは禁じられています。
言い換えると「薬品」の申請ができないレベルの実験結果は、
手前味噌なデータでしかなく、決してエビデンスと呼べるレベルには達していな
いのです。エビデンスと呼べるレベルの実験結果が得られているのならば、
「薬品」としての認定申請をするのが自然です。薬品は効果・効能を宣伝するこ
とができるだけでなく、公の医療機関で保険処方もされるのですから、正真正銘
の「エビデンス」が揃っているのならば、薬品としての承認申請をしない理由は
ありません。薬品申請をしないのは、十分なエビデンスが揃っていないから、と
言えるでしょう。
総合すると、
と定めるのが法律的にも、日常的にも正しい解釈です。
となると「エビデンス=効果の裏付けが有る健康食品」とは?
正確には「小規模な実験結果のある健康食品」です。 酷い場合には、「有利な実験結果のみ表示・宣伝した健康食品」が実態でしょう。 後者の場合には、法律に準拠した効果を証明できる実験は実施できていない、 または有効なデータ、効いたとされる体験談を列挙するだけの単なる宣伝文句と 解釈するのが妥当です。
実験データは無いよりは、あった方が良いのは当然です。
しかし、作為的に「薬」と同等の有効性が確認されているような錯覚を与え、
購入者を勘違いさせる目的のために「エビデンス=実験結果」が誇張・悪用され
ている販売手法が、悪意ある健康食品業者には多いのです。
エビデンスと称される、その殆どのデータや論文の出所は、
現役の医学部や薬学部の教授・研究者ではなく、
農学部や食品化学分野の"研究費稼ぎ"が目的と思しき"センセイ"方の手によるも
のです。酷い場合には自社内の研究所を、公的な機関に装う場合すらあるのです
から巧妙です。
このように、薬品としての承認申請を前提としない、小規模かつ主観的な実験か
ら生み出される小規模な実験レポート、論文や報告が、「エビデンス」と称されているのが実態なのです。
もちろん、小規模といえども実験結果や体験レポートは存在し、公表されている 方が信頼できるし、安心もします。しかし、総じて「エビデンス」と称される実 験データは、売りたい商品や販売店に都合の良い部分だけに限定されていたり、 酷い場合にはデータが改ざんまでされていたりするようです。
「がんが治った健康食品」と宣伝される健康食品に、「エビデンス」称されるデー
タ、さらに関係者の可能性が高い"体験談"が並べば、立派な薬事法違反販売
店の完成です。
しかし、現状では多くの健康食品販売店がこの類ですが。。。
本当に良い健康食品 を探すには、良い健康食品販売店を探すことです。 法律違反を犯してでも売りたいような商品の価格は高く、質は低いと推して知る べしでしょう。