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熱心な紹介・推薦の裏側

病気で弱った時には、家族、友人の励ましは力になります。 ましてや、疎遠であったはずの知人までもが訪ねてきてくれるのは、 自分の存在が肯定されるようで勇気になるものです。

皆が力を合わせてこその闘病。皆が情報を集めてくれます。
本に、ネットに、口コミで、病気の情報はもとより、病院や薬、健康食品まで、 初めての闘病には知らないことばかりの情報はとても心強いものです。 一人一人、一つ一つの情報を大切にしたいものです。 しかし、そこにさえ商売を介在させる販売手法が横行しています。 健康食品を購入の際に親戚・友人・知人が紹介/推薦してくれるという人の中には、 少なからず疑問を感じたことがあるかもしれません。

ある時は訳知り顔で、ある時は情熱的に、 あたかもあなたのもしくは家族の危急を救うのはコレしかない とばかりに熱心に特定の健康食品を薦められたら用心下さい。 そこまで薦めてくれるのなら買ってくれればいいのに...と訝しくもありますが、 助かった人がいるのならと購入してしまうのが人情です。
(初回だけは自腹で贈与してくれるケースもあります)

実は特定の健康食品を薦める彼らには理由があるのです。
この種の健康食品の購入を勧められる場合に決まっているのは、 市販されていない商品のため購入する代理店を指定されます。 さらに購入の際に紹介者を伝えることも"割引?"の条件とされます。 つまり実態は、彼らのオススメの健康食品を購入すると販売額に応じた奨励金が 紹介者に支払われるという紹介販売なのです。
この販売形態は「ネットワークビジネス」という尤もらしい名称を掲げていますが、 社会的な弱者の足元を見て、人間関係をお金に換える忌わしいマルチまがいの販売手法と言えます。

友人/知人を紹介して販売を達成した人間は、 実績に応じた販売奨励金を受け取れます。 また、紹介販売する人物を新たに開拓すること、 その人物を下部ディストリビューター、自分を上部ディストリビューターとして、 自分の下部ディストリビューターの販売額に応じた奨励金がさらに受け取れます。 つまり、自分が紹介販売する売り上げに加え、 販売する人間をさらに開拓することで手数料が倍増するため、 ネズミ算的に収入が増える仕組みになっています。 ゆえに、多少の恥も外聞も関係無く、 病人と聞けば馳せ参じて、熱心に体験談を話し、 軌跡が起こるとされる特定の健康食品を特定の代理店から購入するように説きます。


人間関係をお金に変えるこの忌まわしき販売手法といえども、 本人が全てを納得して購入/摂取する場合には問題ありません。それも人生です。 しかし、藁をも掴む窮状の病人を相手に、長時間の説得で洗脳し、 善意を売り付けるような販売手法は許されるものではないでしょう。 命が掛かった買い物だからと、月に20〜30万円もの購入を迫るのは度が過ぎています。

このような"ネットワークビジネス"で販売されている商品の特徴は、 漠然とした「免疫の重要性」や「自然の恵み」を強調する一方で、 薬事法の盲点である口コミによる奇跡の体験談が強調されます。 また、商品の品質は、極めて普通もしくは粗悪品です。 市販品と同等品質の商品は熱弁によって良い商品と勘違いさせることで高価格で販売し、 市販品と同等価格の商品はパッケージこそ華美ながら中身は希薄もしくは不詳です。 もちろん成分分析(表示の信用性はさておき)から、品質を計ることも可能ですが、 それをさせずに「信用してくれ!」と販売されるのが特徴です。 不必要に価格が高いのは、 親ねずみ, 親親ねずみである上部ディストリビューターへの上納金が 多く含まれるからです。

一度でも背景が見えてしまうと、"ネットワークビジネス"によって流通する商品が、 高価格低品質であることは容易に想像できます。 各ディストリビューターは莫大なマージンを目指して、 必死に販売活動(=お見舞と勧誘)を展開する理由も合点が行きます。

「ネットワークビジネス」で販売されている商品の実例を挙げると、 ハーバーライフ、トランスファー・ファクター(4Life)、黒酵母エキス(アウレオバシジウム培養液)などの商品が 多く流通しているようです。 その商品がマルチで販売されているか否か確認するには、 紹介者を正す以外に、ネットオークションを確認するという方法があります。 紹介販売をするディストビューターには、 少なからずノルマが有る場合もしくは昇格寸前の売り上げの場合に、 自己購入するネズミがいるようで、その余剰在庫がオークションに大量出品されています。 多少割安にはなっていますが、元が粗悪品なので利用価値が低いことには変わりありません。

情報をくれる人の全てを疑う必要は有りませんが、 不可解な薦めには必ず裏があることを肝に銘じておけば、毅然と聞き流せるはずです。 いつの世も人情に寄生する輩はいるものなので、悲観する必要はありません。 全ての情報はありがたく受け取ればよいのです。 誰か一人を妄信することなく、自分達自身で情報を確かめ見定めれば、 自分達にとっての最良の選択はおのずと開けます。




 

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