福島原子力発電所の放射能漏れ事故に便乗して、「βグルカンが放射能に効く」というデマが蔓延している。
βグルカンを含む健康食品は、相変わらずのキノコに加え、マルチまがいの販売が目に付く黒酵母βグルカン、欧米で主流となったパン酵母βグルカンがある。
今回の震災便乗で放射能への効能を虚偽広告しているのは、黒酵母を原料とした健康食品。黒酵母の健康食品は総じて、高い値段に見合う内容は満たしていない。爆発的に売れているとされる黒酵母βグルカン商品もやはり内容的には非常にレベルの低い商品だ。
βグルカンという成分はがん治療に用いられることが大多数で、この内 放射線治療の副作用を抑制できる効果が注目を集めつつある。しかし、この効果の仕組みは、βグルカンによって活性化された免疫システムが活性酸素を除去することから、副作用が抑制されているものだ。つまり、βグルカンが放射線や放射能で傷ついた細胞を修復したりしているわけではない。言い換えると、βグルカンが放射能を除去しているわけではないのだ。そもそも放射線治療では軽度の被爆を伴うが、体内に放射能物質が侵入するわけではないことも重要。
βグルカンをがん治療に用いることは有用であることは間違いないが、βグルカンに体内の放射能除去を期待する(させる)ことには根拠が無い。むしろ、非常に乱暴な屁理屈と断じるのが妥当だろう。
今回の放射能汚染はあまりに深刻であるがゆえに、残念ながら首都圏での被害もゼロでは済むはずはない。政府をはじめ、テレビや新聞は、未来永劫に認めないだろうが、身体へ悪影響への有無を考えれば明らかに「在る」。裁判に訴えて、因果関係を立証できるほどの影響ではないかもしれないが、悪影響は在るのだ。
各自の自衛手段は必要だが、マスクや食品飲料に気を付けるあまり、風評被害に踊らされたり、健康デマに騙されては、先進的に不健康だ。
それこそ冷静な対応が不可欠と言えるだろう。