陽子線がん治療の副作用を無くす新治療法

最新のがん治療法として注目を集めている陽子線治療法は、 従来のエックス線での放射線治療と違って、 体を突き抜けず がん患部に集中するため正常組織を傷つけにくいのが特徴。

しかし、口腔がん治療に対しては、 陽子線が空気中では止められないために、 口の中の空洞部を通って舌に口内炎などの副作用が発生することが問題だった。

新しい陽子線照射法では、 口腔がん治療へ陽子線を照射する際に、 歯型を取る際に使用されるビニールシリコン製緩衝材を利用する。

これによって、陽子線が遮蔽されて正常組織が有効に防護でき、 副作用無しに口腔がん治療が可能なことが証明されたのだ。

新しい陽子線照射法は福井県立病院陽子線がん治療センターが開発し、 米国医学物理学の専門誌「メディカルフィジックス」へ論文が発表された。

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胃がん,卵巣がん,皮膚がん に新しいがん治療法

プラズマと呼ばれる電気を帯びたガスを使った新しいがん治療法の開発が開始さ れる。

がん患部へ アルゴンガスのプラズマを吹き付けると、 正常細胞の成長は促進されるが、がん細胞が死滅することが判っており、 既に卵巣がんに対する効果は実証されている。 今後は、胃がん皮膚がんなどへの効果が検証される予定。

プラズマガスによる新がん治療法の研究は、 国内の約30の研究機関が参加した5カ年プロジェクトが推進中で、 名古屋大学が中心で、まとめている。

プラズマガスによる新がん治療法は、 まだ、がん細胞が死滅するメカニズムや、適用が可能ながん種別を調べる必要が あり、また、臨床に際しては、ガスが正常細胞に与える悪影響の検証も不可欠。

新がん治療法「プラズマガス療法」は、10年以内の臨床試験成功を目標として、 開発が進行中だ。

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抗がん剤副作用の頭髪脱毛を予防

がんの四大治療法である「抗がん剤治療」では、 副作用で脱毛してしまう症例が多い。

抗がん剤治療を受けると、それを気にする患者さんが多くいます。 特に女性のがん患者の頭髪が抜けることは、 精神的なダメージを伴って闘病意欲を削ぐことになり、 治療にも悪影響を及ぼす危険がある。

しかし、抗がん剤による副作用の予防や低減する対策は かなり進歩しており、 治療前後の適切な対応で防ぐことが可能なのだ。

抗がん剤の副作用による、頭髪の脱毛や、 手足の爪が変形/変色する「爪障害」、 さらには、手足が腫れたり痛んだりする「手足症候群」に対しては、 副作用を避けたい部位への抗がん剤の侵入を抑制できるのだ。

具体的には、抗がん剤の点滴15分前から、点滴中、点滴終了後15分までを、 冷すことで血管を収縮させ、抗がん剤の侵入を最小化するのだ。

頭髪の脱毛予防には、 マイナス28度に冷却した「フローズンキャップ」という帽子、 手足の副作用予防には「フローズングローブ」「フローズンソックス」が開発済 なのだ。 これらを利用することで、 抗がん剤の副作用としての頭髪脱毛、爪や手足の痛みは、 かなり軽減できる効果が検証されている。

また、精神的なダメージの軽減策として、 事前に頭髪を短めにカットしておくことも有効とされる。 頭髪が短いと、脱毛した場合の精神的なショックも低減されるからだ。

「冷す」抗がん剤副作用対策は、 脱毛が頻発する「タキサン系」の抗がん剤に特に有効であり、 パクリタキセル(タキソール),ドセタキセル(タキソテール)等による、 乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌、卵巣癌、食道癌、子宮体癌、前立腺癌の 治療の際には、医師への対策依頼を欠かさないようにするべきだ。

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すい臓がん手術前にがん細胞を叩く

膵臓がんで死亡するがん患者は年間約2万9千人とされる。 すい臓がんは、早期発見が難しいことが最大の特徴で、 幸運にも手術でがんを取り除けた場合でも術後に膵臓の周囲にがんが転移・再発 することが多いために、治療成績が悪いのだ。

最新のすい臓がんの治療方針は、術前化学放射線療法となっている。

術前化学放射線療法とは、文字通り手術の前に抗がん剤や放射線治療を実施することで、手術後の転移再発のリスクを最小化しようとする治療法だ。 検査では視認できない、散らばっている可能性の高い細胞を手術前に抗がん剤で叩き、さらにすい臓がんが再発する可能性の高い場所にも手術前に放射線治療を施してしまうのだ。 これによって、すい臓がんを手術除去した後の再発転移リスクを減らすことができるとされている。

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新がん治療法の事前検査を自動化

がん患者の免疫反応を検査する新システムが、来年度2014年初めの実用化を目指 して開発されている。

がん患者の免疫反応検査は、第4のがん治療法として脚光を浴びている「がんワクチン治療」が患者のがんに対して有効かを判定するために必要な事前検査。

がんワクチン治療」は、 がん患者の体内の免疫力を最大限に活用することでがん細胞を攻撃する新しい 治療法。従来の抗がん剤と較べて、副作用が少ないだけでなく、 現行の抗がん剤で効果が無いがん患者の治療にも有効性が期待されている。

がんワクチン治療では、治療に先立って治療の有効性を事前検査されるが、 現在は手作業で実施されている免疫力の事前検査を自動化することで、 検査精度とスピードが向上できるという。

がんワクチンの新検査機器は、パナソニックと、オンコセラピー・サイエンス が共同開発する。

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世界初のがんワクチンセンター

抗がん剤,手術,放射線に続く第4のがん治療法として期待の高いがんワクチン治 療の世界初の専門研究施設「がんワクチンセンター」が開所した。

がんワクチンセンターは、久留米大病院によって、福岡県久留米市に開所され、 1日20人ほどのがん患者へワクチン療法を施していく予定。 その後、治療人数を1日40~50人に増やすことで臨床試験を加速し、 3~5年内の早期の医薬品承認を目指す。

がんワクチン療法とは、 がん細胞表面にあるタンパク質の突起(ペプチド)を標的に、 リンパ球ががん細胞を攻撃することを応用した新しいがん治療法。 ワクチンで人工的にペプチドの突起を増やすとリンパ球が増えるため、 がん細胞が大量攻撃される。

がんワクチンセンターでは、 がん治療効果を高めるために患者個々に合ったワクチンを開発し、 臨床試験を続けてきた。 2010年に「高度医療」の承認を受け、一部で健康保険が適用されている。

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大腸がんの再発や転移のリスクを高精度に判定

簡単な血液検査で、大腸がんやがん化する大腸ポリープを高確率で特定する新し い検査方法が開発された。また、大腸がんの再発、転移リスクを判定する新検査 方法も開発が進んでいる。

新大腸がん検査は、採取した少量の血液を遠心分離し、上澄みを検査する簡単な方法。 これで大腸がんもしくは大腸ポリープの早期発見が可能となり、患者の生存率向 上が期待される。

この新しい大腸がん検査は、三重大大学が米国の病院との共同研究。

また、大阪大学では、大腸がんの再発や転移のリスクを高精度に判定する手法を 開発した。

病原体の侵入などを防ぐ「リンパ節」に含まれている微量のがん細胞を調べるこ とで、大腸がんの再発や転移のリスクが判定できるのだ。

大腸がん患者300人を対象とした調査では、 リンパ節にがん細胞の量が多いと、転移や再発の確率が高まることが証明された。 この検査では、リンパ節転移の大小に依存することなく、 より正確に再発リスクの高い患者を判別できることも判った。 結果として大腸がんの転移再発を早い段階で抗がん剤など潰す早期治療が可能に なる。

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大腸がんを検便よりも高確率検出の新検査

血液だけで大腸がんを92%という高い確率で診断できる検査方法が開発された。

わずか0.5ミリリットルの血液で、約3時間で大腸がんの判定が可能。

従来の検便、「便潜血検査」では、 便に混じった血液を調べたり、他の腫瘍マーカーで検査されてきたが、 大腸がんを発見できる確率も精度も非常に低いことが問題だった。

新大腸がん検査は、 大腸がんで多く発生する「miR―21」と呼ばれるマイクロRNAに着目した検 査法だ。miR-21は、がん細胞が分泌する微細なマイクロRNA(リボ核酸)だが、ポ リープ患者で約2倍、大腸がんの発症者では健常者の約5倍に増えることが発見 されたのだ。

大腸がん検査では、ポリープ患者でも82%、大腸がん患者なら92%の高い確率 で判定できるため、がんの 前段階であるポリープも高い確率で判定でき、発病前に治療することも可能にな るという。

今後は、約2年間程で実用化が見込まれるため、 大腸がんの初期治療、発症前治療が大幅いに進展しそうだ。

大腸がん高精度新検査法は、 三重大学と米医療機関が共同開発し、米国立がん研究所の機関誌に発表された。

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子宮頚がん新薬は効果が300倍

子宮頚がん治療の効果が既存抗がん剤の135倍という新薬の開発が進んでいる。

子宮頚がんや神経芽腫細胞のがん細胞が増殖する仕組みは、 徐々に明らかにされつつあり、LSD1(ヒストン脱メチル化酵素)という酵素が大き な原因と分かっている。 子宮頸がん新薬は、このLSD1を標的としてがん細胞の増殖を抑制する。

このLSD1を標的とした抗がん治療は、 抗うつ薬として臨床で使われているトラニルシプロミンという薬が有効であるこ とは既知だった。 子宮頸がん新薬は、トラニルシプロミンをLSD1だけに輸送して結合させるドラッ グデリバリ型分子(DDM)の「NCD33」を作製したのだ。

このNCD33によるがん治療では、 既存薬のトラニルシプロミンに比べて、非常に高い抗がん治療効果が確認された。

子宮頚がん新薬のNCD33は、実験ではLSD1だけを阻害できることが示された。 そして、培養したがん細胞に対して、 子宮頚がん細胞の増殖をトラニルシプロミンより135倍以上強く抑え、 かつ、神経芽腫細胞に関しては、300倍も強くがん細胞の増殖を抑えたのだ。

今後は、早急に動物実験で安全性と効果を確かめ、人体への臨床試験を模索する 予定。

子宮頚がん新薬のNCD33は、京都府立医科大が開発し、 その開発研究の成果がドイツ科学誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。

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膵臓がん治療に自動追尾する新型治療機器

がん放射線治療の際に呼吸で動いてしまう臓器のがんを 動くがんの位置をリアルタイムで正確に捉えつつ、 放射線をピンポイントで照射できる世界初の治療機器が開発された。

副作用を減らせる最新放射線治療機器は、 ベッド型でがんの動きを捉えて追尾できるカメラと 「ジンバル」という放射線照射機能を備えたもので、 三菱重工業と京都大学の共同開発。

呼吸で動く体内の臓器の中のがんの位置をリアルタイムで捉え、 放射線を正確に照射できるため、 がん周辺の正常組織への影響=副作用を減らすことができる。

既に、肺がん胃がんの治療に対しては、 同じタイプの治療装置が開発済だったが、 新型治療装置はさらに精度が上がったことで、 治療が難しいとされる膵臓がんの治療も可能となった。

周辺組織への放射線量を軽減できる副作用が最小化できたことで、 がんを叩く放射線量がアップできる。 また、治療時間が短縮できることから、がん患者の負担も大幅に軽減された。

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