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特許の恩恵は誰の手に

薬品の広告には表示されず、健康食品の広告にはよく表示される項目の一つに、 「特許取得!」があります。

「特許」とは、 「行政機関が、新たな技術を開発したものに独占的な権利を与えること」です。

ここで注意すべきは、特許を取得している商品が必ずしも良い商品とは限らないことです。 本当に価値のある特許商品の恩恵とは、 今まで抽出できなかった成分が抽出できるようになったとか、 旧来製品よりも不純物を少なく目的の成分が高純度で製造できるようになったとか、 または、既存製品よりも安価に製造/販売できる手法・工程が開発できたとか、 何がしかの付加価値が創造されていることだと言えます。 その付加価値が本物であれば、価値に見合う高価格にも納得できるし、 逆に驚くほどの低価格品をも安心して受け入れられるでしょう。

しかし、残念な健康食品の多くの場合には、保護する価値の無い技術や工程さえも、 「特許」として登録(ほんとうに登録されているのかさえ怪しい...)され、 商品宣伝に堂々と「特許製法だから安心!」と記されています。 特許製法だから「何故安心なのか?」が語られることは殆どありません。

製造メーカーだけでなく消費者に価値のある特許を見分ける目安は、 メーカー同士の訴訟もしくはライセンス供与、またクロスライセンスが行われているか否かです。 本当に価値のある特許には、必ずといって良いほどに亜流が生まれます。 そして、それぞれの企業が自社の商圏や利益を保全するために、 他社保有の特許に対して特許侵害の訴訟が起こされ、法廷で争われています。 パン酵母ベータグルカンの製造特許が典型的な例で、 200件以上の亜流特許が乱立し、20年間以上も訴訟が絶えません。 紛争が勃発した場合の落としどころとしては、 判決を待ってライセンス供与を受けるか、 さもなくば紛争当事者間で相手の技術に価値が見出せる場合には、 クロスライセンスという特許使用の相互供与で解決をみる場合もあります。 健康食品では少ないようですが、IT、バイオを始めとするハイテク産業には、 多く事例があり新聞報道も盛んです。 今や「知的財産戦略」を掲げて、 企業のみならず国家の存亡を賭けた激闘に凌ぎが削られているのが現実なのです。 優秀な技術ほどに、本物の発明とは奪い合われるもの。 一方で、価値の無い特許には亜流が生まれることは無く、穏やかに無視されています。

消費者にとって重要なことは特許とは目的ではなく、手段に過ぎないことです。 今までよりも質の良い商品が同価格で発売された。 または、コストが安くなり販売価格も安くなった。 のなら、技術の進歩に拍手を惜しむ理由はありません。 しかし、特許が我々消費者の利益(品質の向上や価格の低減)に寄与することなく、 企業を利するだけで、独占または寡占によって、我々消費者の利益は損なわれます。

特許技術の本質は私達一般の消費者にとっては理解が難しいのは事実なのですが、 特許=良い製品が全ての場合に成立しないことは朗かなことです。 だから、メーカーおよび販売店は、製品特許を掲げるならば、 その特許によって製品の何が良くなったのか、 質なのか、価格なのか、を説明責任があるのは明白です。

健康食品に限らず闇雲に特許取得のみを喧伝するような商品の購入は避けるのが賢明です。


 

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